ヨガと理学療法の視点が融合したことで再認識できた「気づき」の大切さ

   

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ヨガでは「気づき」を大切にします。外側への気づきや内側への気づきなど対象はさまざまですが、人間は自分のことを知っているようで知らないものです。

幸せや大切なものはいつだってすぐ隣にあるのに、それに気づけないために不幸であったり大切なものを逃してしまいがちです。

また、そんな大それたものでなくても、ちょっとの気づきで結果が大きく変わることってあるんですよね。

私は理学療法士であり、ヨギー(ヨガの練習生)でもあります。先日、膝の靭帯損傷により手術を施行したバレーボール選手の患者さんに関わる機会があり、そこでヨガの気づきと理学療法の視点がうまく融合できた経験をしました。

自分の身体のクセに気づくだけで動きが簡単に変わる

その選手は、後輩の理学療法士が担当していた患者さんですが、術後数週間が経過しておりスクワット動作のトレーニングができるまでに回復していました。しかし、スクワット動作が左右の脚で対称にできないということで悩んでいました。

健康な脚は膝を開いてスクワット動作ができるのに、手術をした側の脚はどうしても膝が内側に入り込んでしまいます。これを修正するのに、それまでは力ずくで広げるように練習を行っていたようです。

私が最初にその光景を見たときは、なんだか膝を開くことに必死になりすぎており、とても何かに気づける状態ではありませんでした。

私はまず、そんなに過剰に努力しないとできないことは、あなたの能力の限界を超えているということを教え、なるべく少ない努力でスクワット動作を実施できるように話しました。

そのあと、スクワット動作で膝を開くというのはあくまで結果に過ぎず、それに至る他の身体部位の状況が、健康な脚と食い違っているのではないかということを指摘しました。

股関節や足の裏の感覚に意識を向かわせ、1回ずつ確認しながら行ってもらうと、健康な足の裏では小指側で踏ん張っているのに、手術側では親指側で踏ん張っているということに気がつきました。

試しに手術側でも小指側で踏ん張ってもらうようにすると、膝は内側に入ってくることはありませんでしたが、太ももにものすごい筋肉の収縮が生じて痛いくらいだと話していました。

これは今まで使えていなかった筋肉が強烈に収縮したことを示していますので、徐々に慣らしていくことで本当に使って欲しかった筋肉を適切に使えるようになると話しました。

話の中で自分の身体や記憶と対話する

私はリハビリ中に実際の動作よりもお話しすることを重視しています。もっと自分の気持ちや身体について思い出して欲しいし、気づいて欲しいという思いがあり、それがベースにあって初めて実際のトレーニングに移ります。

よくよく話を聞いてみると、趣味で行っている 高知県のよさこい踊り の練習中に腰を痛めたことや、昔から右の首をよく寝違えるということ、今回手術した側ではない健康な方の膝も、以前から痛めそうな違和感があったということがわかりました。

おそらく、姿勢の非対称性からくる負荷の偏りから片方にだけ過剰な負荷がかかっており、不安を抱えていた膝を無意識にかばっていたことで反対側の靭帯に知らぬ間に負担を蓄積して、ついに損傷したのではないかと考えました。

つまりこの結果は特に原因もなく起こったことではなく、起こるべくして起こった ということですし、今回の手術で治ったとしても、再発のリスクは高いままだと言えます。

手術した膝のリハビリももちろん大切ですが、再発予防のための調整も同じくらい大切になってくるでしょうね。

自分のことほどよく知らない自分

誰にでも言えることですが、自分のことほどあまり知らないのが自分です。他者からの言葉や態度で思い知らされることもたくさんあります。

今回はケガをした原因と、思った通りに身体が動かない理由について、私の言葉をきっかけに気づきを得られたのですが、これが必ずしも正解とは限りません。

他の理学療法士であれば、スポーツ科学の視点から違ったアドバイスを送るのかもしれません。またそれが正解とも言えませんけどね。

気づいていなかったということへの気づきは今後のパフォーマンスにも好影響が期待できそう

ただ、今回の気づきをきっかけにして、傷害予防や回復の手助けになるだけでなく、バレーボールのパフォーマンスをアップさせることにもつながると考えています。

一流の選手ほど、自分の身体を隅から隅まで把握しているものです。逆に自分の身体に無頓着な一流の選手なんてほとんど存在しません。

自分の身体を理解していれば、パフォーマンスを高めるだけでなく、ケガも起こしにくいし回復も早いです。治すには何をすべきかこちらが言わなくてもだいたい分かっているんじゃないかって思うくらいです。

今回の関わりの一番の収穫は、ちょっとした気づきをきっかけに身体の動きは簡単に変わるということや、膝が問題だからと膝ばかりを意識してもダメなこともあるということ、そして、自分の身体を理解することで想像以上のメリットがあるということを患者さんに知ってもらえたことです。

患者さんのすっきりした表情がすべてを物語っていました。

ヨガと理学療法をうまく融合できた

今回のことは私にとっても大きな気づきをもたらしました。知らぬ間に患者さんを診る視点が理学療法でもありヨギーでもあると気づいたことでした。

ただ実際には、自分の身体や環境についての気づきを得ることで治療していく方法は理学療法や認知神経科学の視点ですでに臨床に取り入れられつつあり、私の場合はそれらも学んでいましたので一概にヨガのおかげとも言い切れません。

また、スポーツ科学の視点から捉えてもこの患者さんを快方に向かわせることはできたのかもしれません。

でも、患者さんを治療するにあたっては いろんなものの見方があったほうがいい結果をもたらす ということもまた事実であり、今回はそれを確信できました。

インドの伝統医学であるヨガと、西洋医学で科学的な治療体系である理学療法を融合させるというのは矛盾しているようでもありますが、結局は患者さんのためのコンセプトである以上はどこかで繋がっていくはずです。

これからもヨガも理学療法も学びを深めていって、自分なりの答えを導き出せることを命題として励んでいきたいものです。

 - ヨガ, 医療と健康

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