

お米を美味しくするために我が家では手間を惜しまずに稲木干し(いなきぼし)の作業を行っています。
逆さまにして吊るすことで稲穂にたまっている栄養を余すことなくお米に送ることと、自然の風でじっくりゆっくり乾燥させる目的があります。
実際には雨が降ったりもしますから完全には乾かないことも多いのですが、それでも一定の効果はありますし、今年は比較的よく乾いています。
少子高齢化、後継者不足の影響もあり、こういった工程は非常に大変な作業なので省略してしまう人も多くなりましたが、我が家ではできるだけここだけは省略したくないという気持ちで取り組んでいます。
前回の記事はこちら:稲刈りしたら天日に干す「稲木干し」の作業を惜しまないことでお米はさらに美味しくなる | 歳月庵
稲木に干している稲穂を「稲こぎ」する
稲こぎする前はこんな感じで稲木に干されています。

ここから稲を稲木から外して「稲こぎ」です。ちなみに「稲こぎ」というのは稲穂からもみ殻のついたお米を外す作業です。
つまり藁(わら)とお米に分離する行程のことで、一般的には「脱穀」と言われます。

昔は人力で動かす機械を使っていましたが、今ではガソリンエンジンの脱穀機(コンバインハーベスター)を使います。
コンバインハーベスターはかなりマニアックな言い方ですが(私はこういう正式名称を調べたり覚えたりするのが好きなのでw)、一般的には「コンバイン」と呼びます。
こういうのは作業を分担するのが効率的です。1人が稲木から藁(わら)を外して、もう1人がコンバインに稲を通します。

稲が藁(わら)ともみ殻付きのお米に分離されると、藁(わら)はそのまま機械の反対側へ落ちて、もみ殻付きのお米は専用の袋に溜まっていきます。
一杯になるとブザーで知らせてくれますから袋を新しいものに取り替えます。
ここでモタモタしてると時間のロスですからコンバインや他の作業は基本的には中断しませんので、素早く取り替えますが、もみ殻付きのお米の流れも止まりませんから、正確に素早く次の袋をセットしないとお米がダダ漏れしちゃいます。
もったいないのでこの作業は責任重大です。

作業が終われば、稲木はバラバラに解体されて片付けられます。藁(わら)はすべての行程が終わった後にバラバラに刻んで田んぼに撒きます。
こうすることで藁(わら)が肥料となり、翌年の農業のときに土がいい状態になっていきます。
ただし、この藁(わら)というのはいろんなことに使えます。
たとえばお正月の「締め縄飾り」を作ったり、野菜作りのときに地面に敷き詰めたり(カボチャやスイカなど、直接土の上に置きたくないときなど)、稲刈りのときに機械のエラーでうまく縛れなかったときに手作業で束ねるときに使ったり。
とにかくいろんな用途がありますので、必要な量をある程度保管しておいて、残りを刻んでバラまきます。
収穫したもみ殻付きのお米は今後どうなる
我が家では籾摺り(もみすり:もみ殻を取り外して玄米にする作業)をして袋に詰めてから保存しますが、農家によっては籾殻(もみがら)がついた状態で保存するところもあります。
籾殻(もみがら)がついたまま保存する方法だと、1〜2年くらいは新米と同等の品質を保つことができると聞いたことがありますので、かなりこだわりの強い農家はこの方法で保存しています。
しかし、籾摺り(もみすり)がいつでもどこでも手軽にできるようなインフラが整っていないため、やはり玄米での保存が一般家庭では実用的です。
ちなみに精米して白米にすることは、コイン精米機などでそこそこ手軽にできますが、精米して白米の状態で保存すると、あっという間に味が落ちますから気をつけてくださいね。
さて、我が家の稲作農業も残す行程は後わずかです。まだ籾摺り(もみすり)をする前の段階ですが、去年よりも豊作の見込みです。
しかし正式にはすべての行程が終わってみないとわかりません。楽しみにしたいと思います。