2016年の稲作農業がついに始動!田植えの準備はこうやるんだよ!

      2017/08/05

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今年も稲作農業がスタートしました。

わたしの実家のある愛媛県東温市では、ゴールデンウィークで田植えをする兼業農家も多いのですが、例に漏れず我が家もゴールデンウィークに向けて田植えの準備を始めました。

田植えをする場面はニュースなどでも放送されますからなんとなくわかると思いますが、そこに至るまでにはなかなか大変な作業が待っています。

ちなみに、去年の農作業の記録はこちらです。

参考:稲作農業を営む農家出身の私がコシヒカリの新米を収穫するまでの一連の流れをまとめてみた【2015年 百姓日記まとめ】 | 歳月庵

まずは畔(あぜ)の草刈りから

田んぼのふちの部分を畔(あぜ)と言いますが、この部分に生えている草を刈ります。

草は刈っても刈っても生えてくるのですが、まずは最初にしっかりと刈っておきます。

棚田では、根っこから枯らせてしまう除草剤は使えません。草の根っこで崩れないように保っているので、雑草対策は草刈り一択なのです。

これから稲刈りまで、何度か草刈りを繰り返します。田舎の農業とは雑草との戦いという側面もあるのです。

田んぼに水を張ってあぜ塗りの工程へ

写真では分かりづらいかも知れませんが、一番手前の水の張ってある田んぼは、あぜの部分がきれいに塗られているのに、その下の段の田んぼは塗られていません。

水を張ってある田んぼは、あぜ塗りという工程を済ませてある田んぼで、その下の段はこれから水を入れてあぜ塗りを行う段階です。

田んぼに水を入れるとものすごい重さになりますから、あぜが重みに耐えられずに決壊しないように、縁の部分を斜めに塗っておくのです。

貯水ダムなんかがこれと同じ理由で斜めになってますよね?

最近は機械で簡単にこれが作れるようになっていますが、やはり鍬(くわ)を使って手作業で行うことには敵いません。

機械で作ったあぜは、水で土を練るという工程がないのでパサパサの出来になり、割れてしまったり、モグラが簡単に穴を開けてしまいます。

近隣の農家の人も、できれば手作業で行いたいのですが後継者がおらず、子供達も手伝いに帰ってはくれず、自身も高齢になっているので仕方ないのだとか。

こればかりは仕方のないことなのかも知れませんね。

代掻き(しろかき)の工程を経て田植え準備は完了

あぜを塗ったら、次は代掻きの工程です。

代掻きというのは、田んぼに水を張って土を細かく砕いてかき混ぜ、田植えができるように平らにならす作業のことを言います。

まずは父が化成肥料をまんべんなくまいた後に、耕運機で水の入った田んぼの土を砕きます。

平地の区画整理された大きな田んぼであればトラクターが使えますが、田舎の棚田ではなかなか難しいです。

手で押すタイプの耕運機がすりきり一杯で通るようなあぜ道しかありませんからね。

もし道が重みに耐えかねて崩れてしまった時に逃げられないというのも理由でしょう。

実際に近所で崖下に転落して大怪我をした人も何人かいますから、我が家では大変なのは分かっていながらも耕運機を使っています。

ちなみに我が家ではコシヒカリを作りますので、肥料はあまり多くなくていいようですね。

そのあとはわたしの仕事です。主に使うのはこの3つの道具です。先が4つに分かれている鍬(くわ)、私たちは四つ鍬(よつぐわ)と呼びますが、まずはこれを使って、

耕運機が侵入することで壊れてしまったあぜを修復します。

本当なら平らな鍬できちんと修復するのですが、今回は忘れてきたのでこれで応急処置しておきます。

機械が侵入するということは、崩れてしまうのは決壊してしまう恐れがない場所なので、これくらいでも十分です。

次に、グラウンド整備などで使われるトンボと言われる道具で、機械が通った後にできるコブをそぎ落とします。

この田んぼであれば、右が作業前、左が作業後ですね。機械で行うため、どうしてもこうなります。これではなんのためにあぜを塗って斜めにしておいたのか分からない、意味のないことになりかねませんから。

トンボを使ってそぎ落とします。ぐるっと田んぼを一周しながらこれを繰り返します。

これで、耕運機が通る前の状態に戻りました。

あとは、はしごの両端にひもがついたような器具を引っ張りながら田んぼの中を歩くことで田んぼを平らに慣らしていきます。

トラクターだとここまでの作業が一度でできるんでしょうけど、我が家ではこの工程を繰り返します。

と、ここまで出来ればあとは数日かけて泥が沈殿し、田植えに最適なフカフカの泥の布団が完成するわけですね。

2016年度の苗もいい出来だよ

苗の写真

2016年5月1日追記。

苗も我が家に到着しました。今年もいい苗が手に入りましたよ。

苗の写真 2

もしかしたらペットボトルくらいあるんじゃないかという長い苗もありました。別に長いから品質のいい苗というわけではないのかもしれませんけどね。

我が家のような棚田で農業を行う場合、田んぼに入る水と田んぼから出て行く水を調整して、出て行く水は次の田んぼに入っていくようなシステムです。

なので、平地で行う場合と違い、田植えのときも完全に水を抜いて植えるというわけにはいかないのです。

もしこれをやっちゃうと、植え終わった時に再び水を入れる関係で、それ以降の田んぼに水が入らない時間ができてしまい、せっかく準備した田んぼの土が再びカチカチに固まってしまう可能性があるからです。

田んぼから出て行く水は他の家の田んぼにも使われますので、我が家だけの問題ではおさまらないのです。

という理由から、水が入った田んぼに苗を植えるのですが、そのためにはある程度の長さがないと植えてあるのか抜けているのかがわからないので、長い苗が嬉しいのです。

大自然の中で無心に作業するとストレス解消にすごく効くよ

ここまでの作業はそこそこの肉体労働なので確かに大変ですが、悪いことばかりではありません。

周囲に山しかない現実離れした環境で、一心不乱に黙々と作業に打ち込むというのは、適度な肉体疲労と相まって、想像以上にストレス解消になります。

藤の花ですね。近所のおっちゃんたちは山藤って呼んでましたが、あんまり普段は見ることのない花です。癒されますね。

自然の生き物もたくさんいます。小さい時は嫌というほど見てきましたが、久々に注目してみました。

夫婦で降臨した巨大ガエル、この田んぼのヌシでしょうか。

まさに手のひらサイズです。頑張ってたまごを産んでいました。

普通のカエルってこんな感じですからね。

カニだっています。自然が豊かな田舎では、別に珍しくないですが、都会に住んでいる甥っ子は目を輝かせて捕獲していましたよ。

水面に映る空や山すらも心に感動を与えてくれますね。田舎サイコーですよ、マジで。

そんな中で作業に没頭することは、父をはじめ我が家では誰もが好きな時間です。

我が家だってマンパワー(人的資源)が十分に足りているかと言われれば、そんなことはありません。

誰もが貴重な休日を潰してヘトヘトになりながらも作業を行っていますが、みんなこの家業が好きだし、この時間を大切に思っているからできるんです。

なにより、自分が生まれ育った土地の水と土で作る米は、努力という隠し味が加わることで、他のどの土地のブランド米をも凌駕する味になります。

田舎で生まれ育った我々だけに与えられた特権ともいうべき、この素敵な体験を楽しむ季節が今年もやってきたのかと思うと、作業にも一段と気合が入りますね。

Posted by 愛媛ブロガー Atsushi(@Atsushi_k0

 - 農業

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